透明タペストリー2 

本や火の見櫓、建築などさまざまなものを素材に織り上げるタペストリー

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ブックレビュー 2025.02

480■ 「少年老い易く学成り難し」この言葉を実感している。2月の読了本は9冊。うち、7冊が単行本で新書が1冊もない。珍しい。『「お静かに!」の文化史 ミュージアムの声と沈黙をめぐって』今村信隆(文学通信2024年)ひとり静かに対峙したい作品もあれば、…

積読状態解消せず

2025.02.28■ 3減3増。なかなか積読状態から抜け出せない。左が2月の読了本。右が未読本。4冊まで減ったが、2月25日に4冊増えて8冊になった。諏訪についてもう少し勉強しようと買い求めた『諏訪学』。版元で品切れ。希少本とかで、ずいぶん高かった。太平洋戦…

「青い壺」を読む

■ 有吉佐和子の作品で、まず浮かぶのは『恍惚の人』と『複合汚染』。それから『華岡青洲の妻』。280毎日新聞(2025.02.22付)の書評面に載っていた文庫ベストセラーの3位は有吉佐和子の『青い壺』だった。先日、この作品を読んだ。有吉佐和子の作品を読むの…

「「戦後」を読み直す」を読む

『「戦後」を読み直す』有馬 学(中央公論新社 中公選書2024年)■ この本の書評を日本経済新聞(2024年11月16日付)の書評面で読み、買い求めて読んだ。今年(2025年)は太平洋戦争の関連本を読もうと思っているので。読み終えたが、書かれている内容が理解…

松本城太鼓門桝形

太鼓門二の門(*1)(高麗門)⑥太鼓門桝形太鼓門一の門(櫓門) 玄蕃石と呼ばれる巨石 重量は約22.5トンとのこと。松本市の郊外、山辺で採れた山辺石、と聞く。図中③は鵜首(うのくび)と示されている。この名称、知らなかった・・・。土橋の幅を絞っている…

「Y字路はなぜ生まれるのか?」を読む C6

■ 「ヤバ! Y字路に沼るかも・・・」という記事を1月20日に書いた(過去ログ)。Y字路に興味を持ったきっかけは、昨年末だったかと思うが、書店で『Y字路はなぜ生まれるのか?』重永 瞬(晶文社)を目にして、掲載されていたY字路のカラー写真を何枚か見たこ…

「稲を選んだ日本人」を読む

■『稲を選んだ日本人 民俗的思考の世界』 坪井洋文(未来社1982年11月25日第1刷発行、1983年2月15日第4刷発行)を読んだ。本書には『イモと日本人』以降の論文が収録されている。どちらか1冊を読んで済ませるという訳にはいかない。稲作民的農耕文化(イネ文…

「イモと日本人」を読む

■ 速読で事足りる流動食のような文章で書かれた本もある。よく噛まないと食べることができないような読み応えのある本もある。『イモと日本人 民俗文化論の課題』坪井洋文(未来社1979年12月25日第1刷発行、1983年1月第8刷発行)は後者。本書は、松本市内の…

口の開閉か、角の有無か

■ 左右対称を好まない日本人の心性。左右対称形で伝わった寺院の伽藍配置をいつの間にか左右非対称に変えてしまった。長安の都市計画も左右対称だったが、それを手本にした平安京の左右対称の構成も次第にくずしてしまった。①②日本最古の本格寺院といわれる…

「狛犬学事始」を読む(改稿)

①『狛犬学事始』ねずてつや(ナカニシヤ出版)広く浅く総論 狭く深く各論 『狛犬学事始』という書名から、ぼくは狛犬(獅子・狛犬2体まとめた呼称 以下同じ)の世界の入門書として、その世界を総論的に説いた本だろうと思って、内容を確認することなくネット…

神殿狛犬 参道狛犬

■ ぼくが持っている『徒然草』(岩波文庫)の奥付を見ると、昭和44年(1969年)6月10日 第52刷発行 となっている。読んだのは随分昔、55,6年も前のことだ。今も忘れずに覚えているのは第109段の高名の木のぼりの「かばかりになりては、飛び降るとも降りなん…

「古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究」を読む C5

■『古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究』古部族研究会 編(人間社文庫 2017年9月15日初版1刷発行、2024年1月28日7刷発行)を読んだ。巻末に古部族研究会について、次のように紹介されている。**学生時代からの知り合いで、ともに藤森栄一の著作などから諏訪…

一向に減らない積読本

2025.02.072025.01.29 ■ リビングにちょこっと設えてある書斎コーナー。その端っこに積読状態になっている本。1月29日は6冊だったが(写真下)、2月7日現在9冊(写真上)。一向に減らない積読本。『狛犬学事始』ねずてつや(ナカニシヤ出版)を早く読みた~…

「諏訪の神」を読む C4

360■『諏訪の神 封印された縄文の血祭り』戸矢 学(河出書房新社2014年12月30日初版発行、2023年1月30日6刷発行)を読み終えた。論より証拠。さらに、証拠を以って論ぜよ。つまり、確たる証拠を示して、論考を展開していくこと。このようなことが本書が扱う…

松本城 本来の登城ルート

徒然草第52段の「仁和寺にある法師」の教訓は松本城にもあてはまる。①■ 現在、松本城の二の丸にある旧松本市立博物館の解体工事が行われている。工事に伴い、外堀南側の土橋を成型鋼板で仕切って資材搬入・解体材搬出などのための通路が確保され、松本城を訪…

朝カフェ読書「諏訪の神」 C4

■ 週2回くらいのペースでしている朝カフェ読書@スタバ笹部店。朝の店内にはパソコンに向かう人、ぼくと同じように本を読む人がいる。同じようなことをする人たちが占めるスタバの空間。そこに、なんとなくみんな繋がっているというような仲間意識を感じる。…

『「お静かに!」の文化史』を読む C3

■『「お静かに!」の文化史』今村信隆(文学通信2024年)を読み終えた。「ミュージアムの声と沈黙をめぐって」というサブタイトルにあるように、本書で著者の今村氏は美術館で作品を鑑賞するときの相反する二つの欲求、「静かに鑑賞したい」、と「誰かと語り…