透明タペストリー2 

本や火の見櫓、建築などさまざまなものを素材に織り上げるタペストリー

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

茨城の民家

■ 民家 昔の記録 今回は茨城県稲敷郡東村(当時)の農家(撮影7910)。たおやかな寄棟の屋根が印象的。関東地方にはよく見られるが棟を瓦巻にしている。棟は雨仕舞上弱点となりやすく、また腐朽もしやすい。瓦ならば腐朽の心配もなく、継目を漆喰で処理して…

路上観察 昭和モダンな建築

1■ 先日松本市大手の古いビルの正面の写真を載せました。これはそのビルの側面を撮ったものです。窓廻りの意匠が見事です。窓台に使われていたのは、やはりスクラッチタイルでした。レンガによる縁取り、窓上の飾り。こんなすばらしい建築が取り壊されるこ…

「これでよろしくて?」

■『これでよろしくて?』読了。川上的ガールズトーク小説と帯にあるが、まあ、要するに女性たちの井戸端会議録。主人公の主婦、上原菜月が元彼の母親に誘われて入った「これでよろしくて? 同好会」。ときどきレストランに集まって「井戸端会議」。「婦人公…

路上観察 松本のレトロなビル

■ 松本市大手(松本駅から北へ徒歩で5分くらい)のところにあるレトロなビル。さて困った、建築探偵失格な私はこのビルを解説することが出来ない・・・。が、少しだけ試みる。建築年代は、戦前、おそらく昭和初期(昭和8年だと分かった)。3階の縦長の窓…

山形県鶴岡市(旧朝日村)の民家

■ 山形県の旧朝日村(現在は鶴岡市)は山形と鶴岡を結ぶ六十里越街道のほぼ中間地点にあります。私が月山の麓にあるこの村を訪れたのは80年8月のことでした。記録がないので旅程の詳細は分かりませんが、一日に数本しかないバスで山形から鶴岡に向かって…

週末読書

■ 前稿に書いた川上弘美の長編『これでよろしくて?』中央公論新社がなんと書店にあった。で、早速購入。このところ単行本で買い求める小説は川上弘美の作品くらいのもの。帯には**コミカルにして奥深い、川上的ガールズトーク小説**などという意味不明…

「これでよろしくて?」

■ ようやく川上弘美の新刊が出る。『これでよろしくて?』中央公論新社。そろそろ新刊を出してもらわないと・・・、と思っていたところだった。明日、25日発売。東京の大型書店には何冊も平積みされるんだろうな。松本の書店に並ぶのはいつになるだろう・…

路上観察 せいろう倉

せいろう倉 木曽郡木曽町(旧開田村)にて 200904撮影■ 板倉の壁の構法(壁の仕組み、構成システム)としては「落とし板倉」と「せいろう倉」があります。他にも柱・梁の骨組みの両面に板を張る構法もありますが、これは新しい構法でしょう。前稿で「落とし…

■ 秋の大型連休の中日、午前中書店で本を探すも購入に至らず。で、自室の書棚から『草枕』を取り出してカフェ・シュトラッセへ。**智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。** 巻末の年譜を見ると漱石…

絶滅危惧屋根

■ 大町市の郊外にある木崎湖、その湖畔の集落に一軒だけ残っている茅葺屋根の民家。以前からこの屋根が気になっていた。先日国道から脇道に入って、路上観察した。寄棟の大きな屋根、この写真ではよく分からないが、棟端は2重棟になっている。棟の中央は煙…

「廃墟建築士」を読んだ。

■「いつも文頭につけている■の色に何か意味があるのですか?」と訊かれた。色には意味を持たせてはいない。なんとなく決めている。こう訊かれて、そうか、例えば内容によって色を変えるとか、なにかルールを決めておいてもよかったかな、と思った。女優・石…

「ジョゼと虎と魚たち」

■ 田辺聖子というベテラン作家の作品ははじめてかもしれない。小川洋子の『心と響き合う読書案内』PHP新書に取り上げられている『ジョゼと虎と魚たち』を読んだ。短編を8編収録している。主人公は30代の女性が多いが、彼女たちの振る舞いや会話がどう…

路上観察 近江八幡の蔵

■ 近江八幡の街中で見かけた蔵。腰は幅広の板の縦張り、シンプルな窓廻り、薄い庇。端整なデザイン。今現在活躍している建築家にこんなデザインをすると思われる人を探すなら誰だろう・・・、谷口吉生さんあたりか。

民家 昔の記録

■ 奈良県の当麻町に出かけたのは1981年5月の連休のこと。近鉄南大阪線沿線で見かけた大和棟の民家(と当時の記録にはある)の写真を何枚かファイルしてある。これはそのうちの1枚。立派な鬼瓦と懸魚。鬼瓦には亀が、懸魚には鶴、縁起のいいデザインが施され…

路上観察 読書発電所

■ 路上観察 今回は読書(よみかき)発電所。南木曽町にあるこの発電所は1994年に国の重要文化財に指定された。福沢諭吉の婿養子の福沢桃介は関西電力の前身となる大同電力を設立、木曽川沿いに七つの発電所を造った。当時、木曽川開発には相当反対もあっ…

「流れる星は生きている」を読む

■ 『心と響き合う読書案内』小川洋子/PHP新書に紹介されている本を何冊か読んでみようと思う。未読本も何冊かある。藤原ていの『流れる星は生きている』は単行本で既読のはず。書棚を捜したところ『家族』は見つかったが、『流れる星は生きている』は見…

路上観察 松本市内の道祖神

■ 松本平は道祖神の宝庫、あちこちに道祖神が祀られています。今回は松本市内田の道祖神です。祠と共に彫り込まれた道祖神。今朝、偶然見かけました。5月3日にお祭をしているそうです。しめ縄はその時に取り付けたもの。花が飾ってあります。ほのぼのとし…

一度嵌まると、逃げられない作家です。

■ 『心と響き合う読書案内』小川洋子/PHP新書。先日この本を紹介していただきました。で、早速購入。まえがきによると現在も放送中のラジオ番組で紹介した本をほぼ一年分をまとめたものだそうです。目次を見ると、川上弘美の芥川賞受賞作『蛇を踏む』が…

「此処 彼処」

■ 日帰り東京するつもりで代休をとっていたけれど、体調不良で取りやめた。まだ街中を歩き回るのは無理だ。終日のんびり川上弘美さんの『此処 彼処』を文庫で読んで過ごす。具体的な場所についての記憶を綴った連作エッセイ集。タイトルは最初の「此処」と最…

「えんぱーく」

■ 塩尻の市民交流センター(愛称「えんぱーく」)の建設現場を路上観察した。この建築の特徴は、約100枚の壁柱と鋼製デッキの上に現場打ちされるコンクリートの床によって成立させる構造システムだと理解している。空間構成としてはせんだいメディアテー…

久しぶりに書店へ

■ ここ2週間位左脚が太ももからふくらはぎまで張っていて、夕方になると椅子から立ち上がる時など、かなりの痛みを感じていた。先日、整形外科で受診、レントゲン写真を前に医師の説明を受けた。やはり可視化された情報は分かりやすい。腰の近くの椎骨が少…

ブックレビュー 2009.08

■ 8月の読了本6冊。『失敗は予測できる』中尾政之/光文社新書「火消し」ばかりでなく「火の用心」にもエネルギーを注ぐべきと考える著者が提唱する「失敗工学」論。さて、今月はどんな本とめぐり合うことになるのやら・・・。